第2章 奏で始める
「中庭に居るのを見たよ。ミツヒデさん達と一緒だった」
「本当!?良かったぁ」
執務室まで行こうと思っていたというココナに、リュウは「でも、移動してたからまだ居るか...」と首を傾ける。
「そっか...。わかった、とりあえず中庭に行ってみる。ありがとう、リュウ」
お礼を述べ、リュウに手を振りながら走って行った。
「...転ばなきゃ良いけど」
ポツリと呟くと、持っていた紙などを出し何かを書き始めた。
++++++
一方、こちらは中庭。
剣の訓練を一時やめ、休憩をしていた。
金髪の少し長い髪を結び、横に流した綺麗な女性がグラスに水を注ぐ。
それを座っている銀髪の少年に、「どうぞ」と手渡す。
「...サンキュー」
乱れた息をととのえながら受け取り、よほど喉が渇いていたのか、グイッと飲みほす。
そのグラスをもらいまた注ぐ。
今度はゆっくり飲む彼に無表情で見ると、一緒にいた穏やかな青年にも水を注いだグラスを渡す。
「ありがとう、木々」
木々と呼ばれた金髪の女性も自分ように水を用意して飲む。
チラッと少年を見る。
「...」
「...」
視線を戻し、また見る...を繰り返す。
「......」
「......」
「.........」
「............あーーー!!もう!!何だよ、木々!!」
とうとう痺れを切らした少年が木々に噛みつかんばかりに怒鳴る。
木々はまた少し黙った後口を開いた。
「じゃあ言わせてもらうけど、何か待ってるの?」