第2章 奏で始める
「うわぁ~~...、やっぱりココナどの可愛いなぁ~~」
「そうだな」
「あの髪とか触ってみたいよ」
同期の兵士が同意しつつ苦笑する。
「だな。...でも...そんなことしたら......」
もう一人の兵士は青ざめる。
「...あぁ。ゼン殿下達に殺されるーーー」
++++++
「んー、いい天気だし、お花達は綺麗で元気だし。良かった」
たくさん咲いてる植物たちを眺めながら、少女ーーーココナは笑った。
「いい感じ。...これなら...」
「いい種ができそうだね」
「!リュウ!」
後ろを振り向くと、黒髪の子供が本を抱えていた。
肩からかけている鞄の中から紙が何枚か出ている。
書き物の道具も中に入っているのだろう。
という事は、少年の病気がまた始まろうとしている。(本物の病気ではない。熱中するとまわりが聞こえない、見えなくなるのだ)
その様子に想像すると、ココナは苦笑して立ち上がる。
「うん、この花の蜜は咳に効くから。その種は大事だもんね。もう採取したの?」
「さっき。この花は、夜以外なら大丈夫だから。ココナさんは仕事?」
「ゼン殿下の御注文の品物を届けにきたの。あ、リュウ、ゼン殿下見なかった?」