第3章 風が招く出会い
「……あそこか」
4人は目星をつけていた宿の近くで止まる。
馬から降りて物陰から宿を見たゼンが「あたりだな」と呟く。
宿の入口には、いるはずの無い兵士が数人立っていた。
ココナは木々に下ろしてもらい、ゼンのそばに寄り小声で話し掛ける。
「ゼンどうやって入るの?」
「時間が惜しいからな、強行突破だ。俺とミツヒデで先に行く。木々はココナとここで待っててくれ」
「わかった」
「ココナ、ゼン達が入口の兵士達を倒したら私達も行くよ」
「は…はい!」
作戦が決まったので、全員顔を見合わし頷く。
木々とミツヒデは、馬が逃げないよう近くに繋いだ。
ゼンがココナの頭に手を置いた。
「絶対離れるなよ」
「うん。わかった」
「よし。行くぞ。」
颯爽とゼンとミツヒデは物陰から走り出し剣を抜く。
少し遅れてゼン達の登場に兵士達は気付いたが遅かった。
対応しようと剣を抜いた時には、既に倒されていた。
「2人とも来い!」
「わかった。ココナ行くよ」
「…す…凄い」
「ココナ?」
「あ、はい!すみません!」
振り向いて走り出した木々の後に続く。
倒れた兵士達を避けながら、ココナは不安げに木々に問うた。
「……あの、木々さん。兵士さん達は殺したんですか?」
「峰打ちだから大丈夫。どんな理不尽な理由だろうが、他国の兵士を殺さないよ」
「そ、そうですか。良かった」
ゼン達を追い掛け玄関に入り、走り続けると階段を上る。
すると、先に行ったゼン達を見付けた。
どうしたのだろうと見ていると、壁から様子見をしているゼンとミツヒデが。
気付いたミツヒデが口元に人差し指を立てて、止まれの合図が出された。
木々が「部屋見付かったの?」と聞くと、ゼンがちょいちょいと指をさす。
2人は相手に見えないように、ゆっくり覗いてみる。
そこには、さっきと同じ服の兵士がまた数人立っていた。