第3章 風が招く出会い
俯くゼンの脳裏に、出会ってからの白雪とのやり取りが蘇る。
『私、薬剤師の仕事をしてて…。湿布薬とか持ってるので、よければ。どうぞ』
「……」
『今のは素直だね?』
「……っ」
『………。籠に入れるくらいわけないか…』
「………白雪」
『なんちゃって』
「……あいつを……」
『赤ってのは、運命の色のことを言うんだろ。今は厄介なだけでも、案外いいものにつながってるかもしれないぞ』
『す…すごい考え方するんだね…』
「……………ココナ」
「…なに?」
俯いていたゼンにココナは笑い掛ける。
ゼンはゆっくり顔を上げると、いつもの不敵な笑みを浮かべていた。
「…白雪を助けに行く。お前は」
「もちろん、行くよ」
「…ふっ。だよな。木々、ミツヒデお前達も…」
ゼンは額のタオルをとり、ソファーから立つ。
…と、一瞬体が傾く。
だが、その体を木々とミツヒデが両側からすかさず支えた。
「もちろん」
「行きますよ。ゼン様」
「あぁ。木々、ココナを頼む」
「任せて」
「ココナ、この薬はどれくらいもつ?」
「えっと、あと1時間ぐらいかな」
「充分だ」
2人から体を離し、ゼンは落ちていた手紙を拾う。
読み返すが行き先等はやっぱり書かれてなかった。
「行き先は…書いてないよな」
「国境付近の所に泊まってるんじゃないかな?」
「…だったら、あそこか」
ココナの言葉に一理あると考えたゼンは、国境付近で、お金持ち…一国の王子が泊まるような宿を提案する。
「よし。出発だ」
家のそばに繋げていた馬に乗り、4人は白雪救出へと急いで向かった。
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