第3章 風が招く出会い
「悪い、どれくらい気を失ってた?」
「30分ぐらいかな。ココナのおかげで、毒の進行を弱める薬を飲ませたからそれですんだ」
「そうか」
木々の言葉に、ゼンは不謹慎だが少し嬉しいと思った。
ふと白雪の姿が無い事に首を傾げる。
「白雪が居ないが、外か?」
ゼン以外の3人の肩が、ピクッと揺れる。
嫌な予感がしたゼンが「…まさか」と呟くのに、ミツヒデが言いずらそうに口を開く。
「…白雪はラジ王子の所へ行った。解毒剤をもらう為に」
「っ…な!?解毒剤を!?」
「ゼンが倒れた後に、ラジ王子の遣いの男が来た。解毒剤は王子が持っているからついて来いってね」
「だからって、1人で行かせたのか!」
「ゼン!落ち着いて!」
ミツヒデも木々も淡々と報告する。
ゼンは安静にしてないといけない容体なのだ。
ココナが涙を流しながらゼンをおさえる。
ミツヒデが続けた。
「白雪が言ったんだ。
『呼ばれたのは私です。大丈夫。解毒剤は必ず取って来ますから』
って。だから俺達は行かせたんだ。俺達の主はゼンだから」
「……っ。くそっ」
ゼンが苛立ちに舌打ちをする。
「ゼン…」
まだ落ち着かないゼンから体を離し、ココナは乱暴に涙を拭う。
「白雪を助けに行こう、ゼン」
「ココナ…」
「白雪は物じゃない。会ったばかりだけど、私白雪が大好きだもん。まだ友達にもなれてないもの」
「……お前」
真剣な瞳でココナは真っ直ぐ伝える。
「ゼンの解毒剤の為に行った白雪を、私は助けたい。ゼンは?」
「俺は……」