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雪灯りのうた【赤髪の白雪姫】

第3章 風が招く出会い



「危険な状態ですが、一応毒の進行を弱める薬を飲ませました。もう少ししたら意識が戻ると思います」

「解毒剤はやっぱり……」

「ごめんなさい。でも、さっきの人の口ぶりだと殺す目的の毒ではないので、そこは良かったです。…まだ安心はできませんが」


ゼンの顔の汗を拭いながらミツヒデに頭を下げる。
ミツヒデは、「いや…」と苦笑した。


「ココナが居てくれて良かったよ。解毒剤は無いが、毒の進行を弱めるだけでも助かる」

「うん。それにゼンは昔から毒には慣らされているからね。多少は耐性がついてる。ありがとう、ココナ」

「ミツヒデさん…、木々さん…。……っあの、白雪は大丈夫でしょうか?」

「…」

「…」


自分達も気掛かりだったので、2人は顔を見合わす。


「大丈夫……って言えないな。相手はタンバルンの第一王子だ」

「自分の所有物に数えたものは、隣国にまで迎えに来るんだものね。変に扱いはしないとは思うけど。でも、あの噂の馬鹿王子だし…」

「…………白雪」


不安が増した3人。
その時、眠っていたゼンから小さく声が聞こえた。


「…………っ……ぅ」

「「「!」」」


バッ!とゼンを見る。
しばらく見守っていると、また小さく苦しそうに声を発し、瞼が震えゆっくり瞳が開かれた。


「…………っ……ぁれ…俺……っ?」

「ゼン!!良かったっ!!」


ゼンが上半身を上げると、涙をポロポロと溢すココナに、首に腕をまわされ抱き付かれた。
気が付いたゼンに、ミツヒデと木々も安堵の息を吐く。
起きたゼンは毒で痛む頭を右手でおさえ、左手をココナの背中にまわした。


「……ココナ…悪い。心配かけたな」


そんなこと無い!という風に、抱きついたまま顔を横に振る。
ゼンは目を閉じ、ポンポン…とココナの背中を優しく叩いた。
そして、状況確認の為臣下の2人を見る。





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