第3章 風が招く出会い
「……!?」
2人を見ていたゼンは、ふと体の違和感を感じる。
(前にも感じた事がある、これは…)
「……ココナ、白雪。その林檎…、お前達は食うな」
「「え?」」
顔色を悪くさせながらふらつくゼン。
2人に注意しつつも、様子がおかしい。
「木々、ミツヒデ、悪い。怒るな、よ…」
「ゼン?」
ココナは嫌な予感がしてゼンの名を呼び腕をとる。
木々とミツヒデもゼンの様子を訝(いぶか)しむ。
しかし、ゼンは襲い来るものに耐えられずココナに寄りかかる。
「……っ」
「え?ゼン!?」
寄りかかってきたゼンに驚いたココナは支えようとするが無理で、ゼンを抱き締めたままずるずると床に座り込んだ。
「ゼン!!」
慌ててミツヒデが叫び、木々と階段を飛び越えてゼンに駆け寄る。
ココナからゼンの体を受け取り大声で呼び掛けた。
「ゼン、どうした。おい!!ゼン!!」
「ゼン!ゼン!?」
投げ出されたゼンの右手を握るココナは呼び続けながら、どうしてゼンが倒れたのかと考える。
『その林檎、お前達は食うな』
さっき言ったゼンの言葉が蘇り、ふと仮説が浮かんで口にする。
「……まさか、林檎に毒が?」
「!」
白雪がそれに反応し、ゼンが一口食べた林檎を掴み自身の腕に巻かれた包帯に擦りつけ匂いを嗅ぐ。
「…本当だ。甘い匂い…これは毒です!」
「やっぱり…」
「解毒剤は!?」
「待ってください!」
白雪の同じ答えにココナは、ゼンを握る手を強める。
薬剤師の白雪なら解毒剤を持っているかもと、直ぐ様木々が問う。
白雪は持っていた鞄を漁るが、解毒剤も、解毒剤に必要な薬草もなかった。