第3章 風が招く出会い
何を思ったのか…。
ガタッ、とゼンはソファーから立ち白雪のそばに行く。
「ゼン?」
白雪が、どうかしたのかとゼンを呼ぶも、ゼンは返事をせず、リボンが巻かれ林檎を持つ白雪の手をとる。
自然な流れでゼンはその林檎を一口……食べた。
「……ぁ」
「ゼ…」
呆然と見ていたココナ。
白雪は頬を赤く染め吃驚する。
嗜めるようにミツヒデが入った。
「行儀悪いなー。だめだろ、ゼン。自分でとらないと」
「ゴフッ!!!…ゲホッ…。な…何見て…。呼んでないだろ。ひっこんでろ!!」
「うわー、傷付くなー!」
「でも、ゼン大丈夫?」
「何がだ!」
木々の次の一言に、逆ギレしていたゼンは止まる。
「ココナ…フリーズしてる」
「……え」
言われてココナを見ると、確かにフリーズしていた。
「え?俺何かしたか?」
「うわー。無自覚か」
「無自覚だね」
「なんだよ」
ミツヒデ、木々のツッコミにわからないゼンは怒る。
「(……ゼン、私以外の人にあんなに優しいの珍しいな。でも、今のは白雪が元気なかったから…うーん…)」
「おーい、ココナ?」
黙ったままなのに心配したゼンが肩に手を置く。
ハッと我にかえったココナは、「…ご、ごめんね。吃驚しただけだからっ」と苦笑いを浮かべ、なんでもないと謝った。
ゼンが食べた林檎を黙って見つめていた白雪が、またゼンの名を呼ぶと今度は反応した。
「……馬鹿なこと言った。ごめん」
悲観的になっていた。
自分の赤い髪を綺麗だと言ってくれたのに、何を馬鹿なことを言ってしまったんだろう。
自分は物ではないのに…。
「白雪…大丈夫?」
「うん。ココナもごめんね」