第3章 風が招く出会い
ゼンと木々、ミツヒデがリビングに入ると、困惑した白雪とココナがソファーに座っていた。
木々、ミツヒデは階段の方へと行き邪魔にならないよう、話を聞くつもりらしい。
向かいのソファーに座ったゼンが、「説明してもらうぞ」と白雪に言った。
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白雪は改めてここまで来た経緯と、先ほどの贈りものの説明をした。
ゼンは籠の中にあった手紙を読むと、スッと瞳を細める。
「---つまり、これの贈り主は、家を空けて遠出をしている白雪の身を案じて、タンバルン国境手前の街まで迎えに来ている、と……」
「……ゼン、その手紙読んでもいい?」
「あぁ」
「ありがとう(ただ心配しているだけじゃないよね。この贈り主)」
ココナは手紙を受け取り読み始める。
ゼンは話を続けた。
「…随分と執念深い紳士のようだな?」
「アハハ。うまいこと言うね」
「白雪…笑いごとじゃないよ」
「そうだ、何を笑ってる!?国境越えて、逃げるくらいの大事だったのか!?」
「……相手が相手だったんで…」
「………」
「…誰なの?」
ゼンは先を促すように白雪を見つめ、ココナも視線を向ける。
本当の事を言うべきか悩んだが、ここまできては言うしかないか。
白雪が覚悟を決め、贈り主の名をあげる。
「---…タンバルンの…、第一王子だったんで」