第3章 風が招く出会い
「カケラで見飽きて下さいと思って、束ねてた髪を置いてきたんだよ」
「「……」」
また言葉をなくしたが、先に戻ったゼンが笑い声を上げた。
「そりゃいい!!ハハハハハハハハハ」
「ふふ。白雪凄い!かっこいい!」
「あははは。笑いごとでもないし、かっこいいも違うと思うけどな」
「いやいや、いい判断だ。よくその下種(げす)から切り離した」
「?」
何がいい判断なのかと白雪は不思議がる。
ゼンがゆっくりと腰を上げ、白雪の前に立つ。
さぁ……、と風が優しく流れた。
「(……ゼン?)」
ふ…とココナの心が揺れた気がした。
(なんかゼン…いつもと違う。楽しそう……)
「赤ってのは、運命の色のことを言うんだろ。今は厄介なだけでも、案外いいものにつながってるかもしれないぞ」
白雪を見る瞳が優しく感じた。
「……(変なの)」
ココナは、ぎゅっと服の裾を握った。
予測してなかった白雪が驚く。
「す…すごい考え方するんだね…」
「おや?尊敬?」
「それは違う」
「ひどっ。……ココナどうした?」
「…へ?」
「なんか元気ないが」
2人の空気になんか落ち着かなかったとは言えず、曖昧な返事を返す。
「え?なんでもないよ。ただ、ゼンの言葉がくさいなって思って」
「なんだと?」
「ふふふ。確かに」
「なっ!白雪まで」
傷付くなぁ、と頭をかきながらゼンはココナの手をとり立たせる。
ココナはお礼をのべ、「(……あれ?)」とさっき感じた心の揺れがおさまっているのに首を傾げた。