第3章 風が招く出会い
「白雪はこの森初めてだよね。案内するよ」
「ありがとう」
差し出された手を握り2人は立ち上がる。
ココナと白雪は木々とミツヒデに声を掛ける。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってきます」
「気を付けてね」
「行ってらっしゃい」
玄関へと向かう幼馴染みの少女と、会ったばかりの薬剤師の少女。
ひらひらと手を振るミツヒデの横を通り過ぎて、おいてけぼりのゼンの前に立った木々が。
「女の子2人だけ行かせる気?」
と家から追い出されてしまった。
「…ってぇ。木々の奴…。………おい、ココナ!白雪!待て!俺も行く!」
先を行く2人をゼンは追い掛けた。
すると木々と、ミツヒデが家から出てくる。
「行くよ」
「え?ゼンに任せたんじゃないのか?」
「任せたけど、大事な2人を会ったばかりの子と一緒にさせるわけないでしょ。ミツヒデも気になって、ずっと白雪を見てたくせに」
「ぐっ」
「とにかく行くよ」
「了解」
++++++
「---で、なんでついてくるのゼン」
「そうだよ。ここには何度も来たことあるから迷わないよ?」
「怪我した娘と、たまに迷子になる幼馴染みを、2人で森に出すなんて紳士の名折れだからな。こんな嫌がらせを受けてもな」
だらーー、と少しほどけてる包帯にココナの視線が行く。
「私がやってあげる」と、ココナは白雪の手を離しゼンのそばに行き包帯を綺麗に巻き結んであげた。