第3章 風が招く出会い
お菓子(クッキー)をパクリと食べ、紅茶を飲むゼンの姿が何か優雅で…。
白雪はちょっと見惚れるが、ゼンの言葉にハッとなる。
「だから!私の家出の理由なんて、ゼンが知っても面白くないって言ってるんだよ」
「だ・か・らー、教えてくれないのが面白くないって言ってるんだよ。白雪」
「…ん?何か違うような…」
ゼンの言い方に頭を傾けるココナ。
チェスをしている木々とミツヒデは耳を傾けながらも、勝負を進める。
木々が有利なようで、「そろそろ降参したら?」と紅茶を口につける。
「え、いやいや待て。ちょっと待て」
「待たない」
木々とミツヒデは楽しそうだ。
2人からゼンと白雪に視線を戻す。
「そんなに邪険にしないでも、ほらこうして包帯巻き合う仲だろう。ははは、おそろい?」
「「………」」
「笑えよ、おい。ココナも」
手当てされた腕を話題に出すが、ココナと白雪は白い目でゼンを見る。
「面白くない」
「ココナに同じく」
「お前ら…」
紅茶を飲みほした白雪が思い付いたように顔を上げる。
「あ、木々さん、ミツヒデさん!私、少し散歩に行ってきますね」
「「はいはーい」」
「ココナ良かったら一緒に行かない?」
「もちろん行く!」
「3人にばっかりなつきやがる…」
ゼンの少し拗ねたような声音に、ココナが笑い白雪に手を差し出す。