第3章 風が招く出会い
「ここは俺達の遊び場でただの空き家だが、管理はココナの親がしているんだ。何日いても問題ないぞ。なあココナ!木々!ミツヒデ!」
「そうだけど…。ゼンそんな自分勝手に事を決め」
「ほらな!!」
「止めてもムダだな」
ミツヒデは言葉を遮られ、笑うゼンに項垂れる。
「ココナはいいの?ゼンがああ言ってるけど」
「え?ん~、使われないよりは、使ってもらった方が私は良いですよ」
「ほらほら」
何か得意気なゼンと、良いのかな?と気にする少女の間に妙な空気が流れる。
「せきにん…」と呟く少女に、ココナはゼンの後ろから出て少女のそばに立ち手を差し伸べる。
「それより、ごめんなさい。ゼンがいろいろ」
「え、あ、いえ…」
「…俺のせいか?むしろこいつの…」
戸惑う少女を立ち上がらせてゼンに向き直るココナ。
「ゼンが確認もせず行くからでしょ?何があるかわからないのにいきなり行くんだもん。ここはあなたがいつもいる所とは違うの。だから怪我するんだよ。わかってる?」
「…ぐっ…すまん」
「「「…おー…」」」
気まずそうに黙るゼン。
思わず3人は拍手をおくった。
ココナはしゃがんでゼンの怪我した手を握る。
その顔は少し泣きそうだった。
「…心配したんだからね。気を付けて下さい」
「!……あぁ、ごめん」