第3章 風が招く出会い
「毒かもわからんものをいきなり差し出されて使えるか!森の小人じゃあるまいし。他人をあっさり信用はできん。つまり、用は無い」
「ゼン!」
「良いんだ。おい、わかったらもう行け」
「………………(近い。まあ…、確かにそう、だけど。上から物言う人間が多い。やかましいな………)」
少女は小さく溜め息を吐くと、急に自分に向けられている剣の鞘を掴むと…。
「お?なんだ、やるのか…」
「?」
ココナも気になって見守る。
すると、勢いよく少女は自身の左腕に打ち付けた。
「「!?」」
「………ッ」
「あなた、何を…」
突然の行動にココナを始め、ゼン達も言葉を失う。
思ったより痛かったのか、少女は痛みを堪えながら治療をする。
「………」
「ーーーーあいにくと、毒を持ち歩く趣味はないよ」
ニッと笑ったように言う少女に、再びみな言葉を失った。
ゼンは目を見開き剣を落とす。
「あっはははははは。やられたなー、ゼン!」
「く…くく…」
「え?」
少女の行動にミツヒデと、お腹をおさえてゼンも笑い出す。
なぜ笑われるのだろうと困る少女に、「ハー…。そりゃ悪かった。よろしくたのむ」と怪我した所を見せながら笑顔で。
「そもそも俺の着地失敗は、半分はおまえのせいだったな。責任もって、痛みが引くまで面倒をみてくれるんだよな?」
怪我してないほうの手で少女の肩を掴んだ。