第3章 風が招く出会い
「ちょっと、ゼンッ」
「…それで?おまえ何者だ?」
ココナに一瞥してフードの人物を、少し冷ややかに見る。
「いや私は…その、家出中の身で。ただ、人通りのない道を――――!」
フードの人物が言いにくそうに話していると、ゼンは最後まで待たず手にしていた剣の鞘の先で、クイッとフードを退けた。
フードに隠されたものを見た途端4人は驚いた。
「(…綺麗)」
それは綺麗な赤い髪だった。
しかも女の子で、その少女は「あ」と、とっさに右手で髪を隠そうとするが無理で、もう逃げられないと諦める。
ココナは頬を少し染めて見いっていると、同じく珍しい髪を見ていたゼンが「……変わった髪を持ってるな?」と言う。
「(しまった…)そうですね。よく言われます。そ、それより、あなたさっき落ちて右手を痛めたんじゃ?」
「…それが何だ」
「私、薬剤師の仕事をしてて…。湿布薬とか持ってるので、よければ。どうぞ」
「薬?」
少女は持っていた鞄の中から薬を探すが、ゼンは興味無さそうにする。
「ふーん。いらない」
「ゼ、ゼン。せっかく治療してくれるって言ってくれてるのに、いらないって」
「じゃあ、ココナは見ず知らずの奴から、薬剤師だからって治療を受けるのか?」
「う゛…。でも、悪い人じゃなさそうだよ」
「…それでも」
ゼンは威嚇の意味で剣を、少女に鞘のまま向ける。