第3章 風が招く出会い
木々が視線でココナが走っていく方にやる。
驚きながらもミツヒデは木々と共にゼンがいる塀の向こう側へと走った。
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「…っ…はぁっ…はぁっ……ゼン!」
門から外に出て必死に走ってると、しゃがんでいるゼンを見つけた。
右手首らへんをおさえているようで、慌てて駆け寄る。
「ゼン!大丈夫!?痛いの!?」
「ココナ…あぁ…大丈夫だ」
「そっか。良かっ…」
ココナは地面に両膝をつき、ゼンの右手を手に取り安堵する。
「ああ!大丈夫かゼン!?手首捻った!?頭打ってないか!?1+1は!?」
ココナを追い掛けてきたミツヒデが真っ青な顔して叫ぶ。
ミツヒデの登場に吃驚するココナ。
それにしゃがんだまま、ゼンがしれっと。
「2。あれっ、おまえだっけ?」
「!!ミツヒデだよ!」
悲痛な声でわざとらしいと言うような感じでミツヒデが答えた。
さらに、「ああ!そんな名前だったんだ」と途中からゆっくり来た木々が便乗する。
「なんだよ、木々まで!傷付くな----」
「---で。おまえはほんとに誰?」
「!」
「こんな森の奥で、一体何を?」
ココナに握られた右手から、ココナの手をやんわりと退かしながら立ち上がる。
視線はフードを被った人へと向けられた。
今気付いたココナが頭に?を浮かべながら立つ。
「ゼン、この人は?」
「そこに居たんだ。だから、そいつに吃驚して避けようとしたらこうなった」
「そう。…ねぇ、あなたは誰?」
「…えっと」
フードを被った人物が答えようとするよりも先に、ゼンがココナの前に庇うように立ち、右手でココナが動かないように制止する。