第3章 風が招く出会い
腕を組んで欲しそうな顔で頷く。
そんなミツヒデにココナは、「そうですよね。私は造るの賛成だったんですけど」と言っていると、ゼンはそばにある塀をペタペタと触っていた。
ココナは何をしてるんだろう、と首を傾げる。
「ゼン?どうしたの?」
「別にー…あー…でも、ミツヒデが好きに造れば?脇に街道があるこの森じゃあ、入ってくる人間すら見かけないけどな。それに、ロウが許可すればだけど、っと」
ヒョイッと助走をつけ塀の壁に足をかけ、塀のてっぺんに手を置く。
「冷たいなー。もー」といういじけた声を出すミツヒデが残念そうに歩き出す。
すると。
「!?」
身軽に塀を乗り越えようとした途端、着地地点に人がいるのを発見。
少し遅れて相手もゼンに気付いた。
驚いたゼンが人に気をとられたせいで、手を置いていた所に足を引っ掛けた。
「でッ」
派手な音で地に着地する。
音に吃驚したココナが反応し、ミツヒデがゼンの名を呼ぶ。
「!」
「!?ゼン!?…あれ?ココナは!?」
「あそこ」
「はやっ!おい、木々!俺達も行くぞっ!」