第3章 風が招く出会い
興奮していっきに喋るココナをゼンは苦笑しながら宥め、中庭を2人は仲良く歩く。
少し離れた所で木々とミツヒデが歩きながら庭を眺めていた。
「…にしても、手入れがされてなかったわりには綺麗に咲いてるね」
「あぁ。この家はココナの家が管理してるらしいが、ずっと来てなかったのに変だな」
不思議に思っていると、ココナが歩みより疑問に答える。
「お母さんの知り合いが庭師なんです」
「庭師?」
木々の質問に頷く。
「はい。その庭師の方が、時々手入れをしてくれてるんです。お母さんに聞いたら、先週この家の鍵を貸したって言ってました。
だから、手入れされて元気になった植物達があるんです」
「へぇ。でも、所々雑草があるけど」
綺麗に咲いてる植物のすぐ傍に雑草を見つける木々。
「その庭師さんは、ある程度雑草を残すんです。理由は知りませんが」
「なるほど…って、ゼンは?さっきまで一緒にいたんじゃないのか?」
「えっと…ゼンなら…」
キョロキョロとゼンを捜すと、敷地内の奥の方に後ろ姿を見つけた。
「あ!あそこです」
ココナが2人がわかるように指をさすと、気付いたゼンが3人を手招きする。
3人は顔を見合せてゼンの所に行くと、傍にある木に手を置いて見渡していた。
主の様子にミツヒデは声を掛ける。
「何やってるんだ?」
「ん~…さっきリスがいたんだけど、…逃げられたかな」
「そういえば、この家馬小屋はないんだな。どうしてだ?」
ミツヒデも木々も、時々ゼンとこの家に遊びに来ていたが馬小屋がないことが前から気になっていた。
理由を知りたくてココナに話をふる。
「つくる話はあったんですけど、いらないってお父さんが。たまにしかこの家使わないからって」
「そうなのか。でも、やっぱ馬小屋もあるといいなー。この家。何か起きても、馬がいればすぐ動けるし」