第3章 風が招く出会い
窓を開けたあと一階のリビングに集まる。
ゼンとココナは窓側、ミツヒデと木々が向かいのソファーに座る。
まだ朝なので、ココナがどうしようかと困ったように首を傾げる。
「知らない家ならいろいろ見たいと思うけど、よく来てた家だからな。特にない」
「俺もだ。窓開けていくついでに見たし。木々は?」
「そうだね…」
ぐるっとリビングを見やり、すぐに首を横に振る。
木々も特にないようだ。
3人の視線がココナに向けられ、戸惑いながら一生懸命に話そうとする。
「えっと、えっと…家のまわり見たいな。さっきそこの窓から見たけど、花が綺麗だったんです。…駄目…ですか?」
「駄目じゃないさ。な?」
2人の返事などわかってるが一応聞いてみる。
自分も含めて、ミツヒデも木々もココナにはどこか甘い。
ミツヒデは頷き、木々がココナの傍に寄る。
「良いんじゃない。見るのは塀の中だけ?」
「そうですね。塀の外は来たときにちょっと見たので」
「決まりだな。行くぞ」
ゼンがふっと笑い、慣れたようにココナに左手を差し出す。
ココナも笑顔で自然に右手で握り返し、2人は立ち上がる。
ミツヒデ達は見慣れたので何も言わず、主達の後を追い掛けた。
玄関から外に出た4人はまず中庭に向かう。
ココナとゼンが窓から見た通り、花が沢山咲いていた。
いろんな種類の花達に、綺麗なアメトリンの瞳を輝かせながらゼンに話し掛ける。
「…うわぁーー!凄い、凄い!!ゼン凄い!花が綺麗!!窓から見たから知ってたけど、やっぱり綺麗っ!」