第3章 風が招く出会い
空き家の玄関のドアにココナは持ってきた鍵で解錠し、ドアを開けると外からの風が入り少し埃が舞った。
全員埃を吸わないように手や腕ですぐ口と鼻をふさぐが、少し気管に入ったようで咳をする。
ココナが少し涙目になりながら、外に出た。
「…っ…ゴホッ……ゴホッ…。埃が…」
「……ゴホゴホ……空気が悪い」
木々も苦しそうに咳をする。
ミツヒデがゼンの様子をうかがう。
「ッ…ゴホッ…大丈夫か?ゼン…ッ…」
「…あぁ、ゴホ…ッゴホ…やっぱり掃除してないから悪いな。…ゴホッ。大丈夫か、ココナ?」
「……ゴホッ…うん、大丈夫。ちょっと換気したほうがいいかも。手伝ってくれる?」
「…ゴホ、ゴホッ…。もちろんだ。ミツヒデ達は二階、俺とココナは一階だ」
「わかった」
「ココナ無理しないで、ゼンに窓頼みな」
「はい、ありがとうございます。木々さん」
「……」
「…ゼン拗ねるな」
「拗ねてない」
玄関で別れてそれぞれ部屋の窓を開ける。
ゼンと一階の窓を開けていたココナが、ふと中庭に目をやる。
手入れがされてなかった為、雑草が生えているが、綺麗に花が咲いていた。
「良かった。き…」
「綺麗に花が咲いてて…だろ?」
後ろから声がして視線だけやると、腕を上にやり伸びをしながらゼンが笑っていた。
ココナが不思議そうな目で瞬きする。
「…よく、わかったね」
「…バーカ。何年の付き合いだと思ってるんだ。お前の考えてることなんてわかるさ」
吹き出してココナの頭を軽く小突く。
「…そっか…」とどこか嬉しそうに、ココナははにかんだ。