第3章 風が招く出会い
幼馴染みのこの少女は変に遠慮をするところがある。
まぁ、王子と国民(一般人)なら遠慮をするのは当たり前なのだが、ゼンはココナにはそんなことをしてほしくない。
身分の差はあるが、ココナのことは大事に思っている。
だから、自分が王子だからと遠慮してほしくないのだ。
「この散策はお前の休暇でもあるんだ。やりたいことをやればいい。…薬草探しか…よし。俺達もしていいか?」
「えっ!?ゼンも薬草探ししてくれるの?わ、悪いよ!」
「気にするな。たまには違うことをしてみるのもいい。前はよく一緒にしただろ」
「決まりだ」と木々とミツヒデにこれからすることを伝えると、二人は苦笑し了解した。
ココナは、後ろから体を支えるように両手で手綱を握っていた木々に、困惑した顔を向ける。
「…木々さん、良いんでしょうか?お邪魔になりませんか?」
心配そうな瞳に木々は、ふっ…と笑みを浮かべる。
「邪魔なんてならないよ。ゼンのことだから、楽しんでるのもある。気にしなくて良い」
「……」
「この森には薬草がいろいろあるんでしょ?手伝うから、薬草探ししよう」
「…はい!」
木々は頭を撫でてあげる。
ゼンとミツヒデは馬を歩かせながら、小声で話す。
「な…なんか木々が羨ましい」
「ゼン心の声が出てるぞ。いつも撫でてるのに、羨ましいのか?」
「俺に撫でられてる時と違う。何故だ」
「ハハッ」
若干悔しそうなゼンにミツヒデは呆れた声で笑い、同じく呆れた木々が溜め息を吐く。
撫でられるのが終わったココナは小首を傾げた。