第3章 風が招く出会い
早朝、城の中庭でゼンから散策の誘いを受け、しばらく馬に乗り昼過ぎに目的地に着いた。
森のなかをゆっくり馬で歩く。
木々の馬に乗ったココナが瞳をキラキラさせながら、嬉しそうな声をあげる。
「…わぁ~!気持ちいい!」
「ココナ落ち着いて、あんまり体を乗り出すと落ちる」
「ハハッ、連れてきて正解だったな」
「ご、ごめんなさい!」
木々の制止とゼンの笑い声に、慌てて姿勢を元に戻す。
ゆっくり馬で歩いてはいるが、いくら訓練された馬だからと言って正しい乗り方以外をしたら危ない。
しゅん…と大人しくなったココナに木々は苦笑する。
「別に楽しむのは悪くないけど、今のは危なかったからね。気をつけてくれれば良いから」
「…はい。わかりました」
「そうだ。せっかく来たんだから、何かしたいことはあるか?」
前方で綺麗な姿勢で馬に乗っていたゼンが振り向きながら問う。
その後ろに、右側が木々、左側がミツヒデとなっている。
「?何かしたいこと?」
「散策だけじゃもったいないからな。何かあるか?」
「うーん…………散歩ができれば私は良いよ」
「間が長い。嘘つくな。本当はあるんだろ」
前にいたゼンが手綱を操り、木々の馬のすぐそばまで近寄る。
「…う゛」と口ごもるココナは、迷いつつ小さい声でしたいことを話す。
「……その…せっかく森に来たんだから、……薬草探ししたいな…って」
なんだそんなことか…、とゼンは言いながら頷く。