第2章 奏で始める
「それで、どこまで行くの?」
「少し遠い予定で考えてたから、ここだな」
木々の質問に持っていた地図を開き、指で示した場所は城から少し遠い森だった。
森の近くには町がある。
三人はその場所に口を揃えて。
「「「…………森で、散策(遊びたいだけなんじゃあ…)」」」
同じ事を考えた三人に、「…な…なんだよ…」とゼンは拗ねるように言うが、三人は苦笑しただけだった。
だが、ココナの表情が曇る。
「じゃあ、少しの間会えないんだね…。さみしいな…」
「?何言ってるんだ、ココナ」
「…え?」
キョトン…とした顔のゼンに、同じくキョトンとする。
それから、右手でココナを指差しニッと笑うゼンは一言。
「お前も行くんだよ。ロウの許可は貰ってるから」
「…………わ、私もっ!?」
ロウとはココナの父親で、王室御用達の職人だ。
ココナはどうして自分も?とゼンに詰め寄る。
「な、何で私も?散策って言っても、ゼンのことだから視察もあるんでしょ?私が一緒に行っても邪魔だよ?」
聞かされてなかった事と、疑問に思ったことを息もせずに喋る。
それはそうだ。
いくらお幼馴染みとは言え、相手はこの国の王子で自分は国民の一人。
その王子の散策に、臣下でもない自分が行くとは思わなかったのだ。
ココナの様子に、両手で制止をかけながら答える。