第8章 乱藤四郎
「ただいまー!」
本丸は丁度夕食時で、歌仙と燭台切が配膳の指揮を執っていると、審神者と乱が帰ってきた。
「あれ?主も乱君も随分早いお帰りだね。困ったな、夕食準備してないよ?」
「夕食なら食べてきたから大丈夫だよ、燭台切さん。それより主さんにお茶淹れてあげて。それと、いち兄ーー!いち兄どこー⁉︎」
一期を探してドレス姿のまま、乱は廊下の奥に消えていく。残された審神者は大広間の上座に座らされ、お茶を淹れてきた燭台切からぎこちなく湯呑みをもらい、お茶を飲んでいた。
「どうした主。現世で何ぞあったのか?この爺に話してみよ」
ほけほけと笑いながら三日月が近寄ってきた。それに気づいた鶴丸も近づいてくる。
「何だ何だ主。惚けるほどの驚きがあったなら是非話してくれ」
「お前達、主はお疲れだ。後にしろ」
「長谷部君の言う通りだよ。三日月さんも鶴さんもまずは一服味わわせてあげようよ」
三日月、鶴丸、燭台切、長谷部。
乱の言っていた“自分を狙っているという五人”の内の四人に囲まれて、審神者の動きはますますぎこちなくなる。
「…主?お疲れのようですので急ぎ湯浴みの支度を致しましょう。今夜は早めにお休みください」
いつもと変わらない長谷部に少し安心しながらもう一口お茶を飲もうとした矢先にそれは現れた。