• テキストサイズ

夢と魔法と冒険と

第8章 乱藤四郎


全くの余談であるが、この施設でのナンパ成功率は恐ろしく低いとされている。来園者のほとんどが家族連れや恋人同士であることや、そもそも園内が楽しすぎて通称「夢の国マジック」と呼ばれる独特の雰囲気に飲まれてしまいナンパどころではなくなるからである。そんな中でも果敢なチャレンジャーは存在する。審神者達が出会ってしまったのも、そんな果敢な挑戦者達だった。

それはパレード待ちの間、暖をとる為温かい飲み物を買いに出かけた時のことだった。審神者が二人分の飲み物と軽くつまめるスナックを買い、場所取りをしている乱の元へと急いでいると、わざとらしくぶつかって来る二人組の男達がいた。全く以ってベタである。

「あ、すんませーん、大丈夫ですかぁ〜?」

「大丈夫ですかぁ〜って、あれ〜?お姉さんかっわいいッスね〜。あ、お詫びの印に俺達コレ持ってあげますよぉ〜」

そりゃ成功率も限りなく低くなるわなと思わざるを得ないほどのベタなナンパに辟易としていると、飲み物とスナックの入ったトレイを奪われてしまった。

「え?あの、返してください!」

「まーまー、いーじゃんいーじゃん。これからパレードっしょ?一緒に見ようよ」

「そーそー、俺ら穴場スポット知ってるからそこでじっくり、ね?」

「ちょっと、妹が待ってるんです!返してください‼︎」

「へぇ〜、妹ちゃんも一緒なんだぁ〜。じゃあ妹ちゃんも一緒にさぁ」

小柄な審神者がトレイを取り返そうとするも、大柄な男達はひょいひょいと躱してはニヤニヤしている。普段ならこの辺りで園内を巡回している警備員から声がかかる所だが、今回はそれより早く動く者がいた。
/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp