第7章 鶴丸国永
「みなみ、今何時だい?」
腕時計を確認し16:30だと審神者が言うと、鶴丸はふむ、と腕を組んだ。どうしたのかと問う審神者に、いつものように飄々と笑いながら手を差し伸べる。
「少し早いが夕食にしよう。のんびり行けば時間的にも丁度良い」
「……もしかしてまたレストラン予約してあるとか言わないわよね?」
呆れ顔で鶴丸の手を取りながら、審神者は足早に歩き出した。引っ張られる形で鶴丸も歩き出す。
「おいおい、そんなに急ぐこともないだろう?席はちゃんと確保してあるんだ」
やはり夕食もレストランを予約してあるらしい。さすがに夕食まで良い時間帯を押さえることは出来なかったようで、少々早いが待ち時間がないのはありがたいことではある。陽が傾き、海辺にあるこの施設は格段に冷え込みを増してきた。
「それで?今度はドコのレストランな訳?」
「それは着いてからのお楽しみだ」
イタズラが成功した時のような笑みを浮かべてエスコートを続ける鶴丸に、審神者は小さく溜息をこぼした。
「こっちだ、みなみ」
連れてこられたのは施設内にあるホテルへの出入口だった。ホテル内は施設の外という扱いになるため、係員に再入場に必要なスタンプを押してもらい、中へと入る。エスカレーターを上がりロビーへ出たところで、ホテルの従業員が近づいてきた。
「ようこそお越しくださいました。チェックインはお済みでしょうか」
「いや、今日はレストランを予約してあるんだが」
「失礼しました。どちらのレストランでしょうか?」
鶴丸が地中海料理を提供するレストランの名前を答えると、従業員はにこやかにレストランまでの道順を教えてくれた。礼を言って教えられた通りのエレベーターに乗る。エレベーターを降りると、レストランばかりのフロアに着いた。