第7章 鶴丸国永
「え、ちょっと鶴丸?ちょっと待って?」
「ん?どうしたみなみ?」
「どうしたじゃないってば!ここ、どこかわかってるの?!」
「どこって……今から昼飯を食うれすとらんとやらだが?」
「そうだけどそうじゃなくて……ココ、園内で一番高いレストランなのよ?!」
火山の麓にひっそりと佇むドーム型の屋根。一見してそうとは判別しにくい所にそのレストランの入口はある。園内では最もランクの高いレストラン。ランクが高ければ当然代金も高く、一人頭福沢諭吉が一枚は確実に飛んで行く。そう説明しようとして、審神者は声を顰めた。
「大体ここ、予約してないと1時間くらいは待たないといけないし」
「それなら心配ない。俺が予約しておいたからな」
いつの間に、である。ネットで予約の出来るレストランはいくつかあるが、どこも解禁日は一ヶ月前からだ。しかもあっという間に予約で一杯になる。全員に端末を持たせてから一ヶ月も経っていないのに、こんなお昼時に予約が取れる訳がない。そう思って口を開こうとする審神者を視線で制し、鶴丸は手を引いて入口の係員に声をかけた。
「12:30に予約していた鶴丸国永だ。席は準備出来ているかい?」
「2名様でご予約の鶴丸様ですね。お席の準備が整い次第ご案内致しますので中でお待ちください」
端末の予約受付画面を見せ予約票をもらい、中の待合室へと進む。ソファに二人分の空きを見つけて腰掛けた。
「ちょっと鶴丸、どういうことなの?」
「驚いたか?ほーむぺーじとやらで予約が出来るとあったからな、予約しておいたんだ。丁度いい時間は一杯だったが、きゃんせるが出ることもあるというから張り付いていて良かったな。こんな丁度いい時間に予約が出来た」
鶴丸がここ最近ずっと端末ばかりいじっていたのはこのためだったらしい。イタズラが成功した時のように得意げな顔で笑う鶴丸に、審神者は苦笑するしかなかった。
「お待たせ致しました、鶴丸様。ご用意が出来ましたのでご案内致します」
係員に呼ばれ、立ち上がる。階段を下りて店内を見回すと、大きな地球儀に目を引かれた。案内された席は、その地球儀の足下にあった。