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夢と魔法と冒険と

第1章 夢の国へ


光のパレードが終わると今度は、大きな池に飾り付けられた何艘もの船が現れた。内の一艘が池の中央に陣取ると、他の船は少しずつ離れたところへ接岸する。船の中からキャラクターの着ぐるみと、奇抜な衣装に身を包んだダンサーが現れて踊りながら岸へと降りた。何処からか他のダンサー達も現れて、祭のような賑やかさだ。と、中央に陣取る船から塔のようなものが伸び、その頂きには黒い大きな耳のネズミが立っている。ネズミは音楽に合わせて接岸している船を指差す。指差す船からは花火が上がる。順番に全ての船を指差すと、次々と花火が上がる。最後に天へ向けネズミが高々と手をあげると、中央の船から水飛沫と花火が同時に上がった。後ろに連凧を操る者を乗せたジェットスキーが中央の船の周りをグルグルと回り、やがて一ヶ所に集まる。それを合図にネズミは再び天へ向け手をあげた。先程より大きな花火と水飛沫が上がり、ネズミは深々と一礼した。

「あ、もしかしてつまらなかった?」

刀剣男士達が一言も発しないのを不思議に思い、審神者は一旦映像を止めた。一拍遅れて刀剣男士達全員の目が審神者に向けられた。そこからはまさに阿鼻叫喚の様を呈していた。

「これって現世じゃいつもやってるの⁉︎」

「僕、あのお姫様達に会いたい‼︎」

「現世ではこのような祭を行っているのですか⁈」

「キラキラしたの……すごく綺麗だった……」

口々に感想を述べ、中には何処にあるのかと尋ねてくる者もいた。審神者は落ち着いて、と繰り返し刀剣達を宥めると全員を見渡して言った。

「この娯楽施設は天気が悪くなければ大抵こういう催し物をしているの。もし行きたいのなら連れて行ってあげるよ?」

「「「「行きたい‼︎」」」」

ほぼ全員の声が見事なまでに揃った。あまりの迫力に審神者は一歩後ずさる。が、一つ肝心なことを思い出しておずおずと口を開く。

「みんなが行きたいって言ってくれるのは嬉しいけど……現世に連れて行ける刀剣は一振りだけなんだよね」

「‼︎そんな、僕らの中から一人しか行けないの⁈」

乱が泣き出しそうな顔でつぶやいた。審神者は慌てて訂正する。

「そうじゃなくて、一人ずつ順番に行くことになるってこと」

「みんなでは行けないのですか……?」

哀しげに言う秋田の頭を撫でながら、審神者は言い聞かせるように話を続けた。

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