第28章 想い
「なっ!!」
それに対し、驚きが隠せていない男…
一番驚いていたのは…
傍に居たはずの連中まで、音も気配もなく
全てを倒し、気絶させていたこと…
「ぐあっ!!」
緑川「こっちは片付いたよ、迅さんb(キラン」
迅「おう。ありがとう(微笑」
左手を振りながら言い
「ぐおっ!!」
遊真「こちらも同じく≡≡b」
迅「おう。サンキュ(微笑」
同様に手を振ってから、主犯と思しき男と向き直る…
迅「闇に飲み込まれない理由、教えてやろうか?」
「!知って…いるのか?」
迅「ああ…
あいつらにとっては…
もう、それよりも掛け替えのないものが隣に在ったんだよ。
いつでも、隣に…
俺たちに、そうし続けてくれたように(真剣)
そう在り続けてくれたようにな(微笑」
思い起こされるのは、夕暮れの中
左手を差し伸ばし、笑いかけてくれた場面…
居場所がないと思い悩んで
川岸まで走って行って、雨に打たれていた中
解決するまで、寄り添い続けてくれたこと…
どんなに辛い未来を見ても、大事なものを見失うなと諭し
長年つけていたサングラスを、託してくれたこと…
記憶として、何度でも蘇る…
(「迅悠一」章、参照)
彩になってくれたこと
生きる希望となってくれた…
居場所となってくれた…
帰って来る、掛け替えのない場所となった…
三人と共に笑い合う、玉狛支部での日常が浮かぶ。
ボスとも最上さんともまた同様に…
何度も…何度も…
受け入れては、優しく迎え入れてくれたことを…
迅「それさえあれば、生きていける…
それがあるから、何度でも前を向いて生きていける…
だからぶれない。
だから闇に飲み込まれない。
だから…
今、こうして生きていられる」
後ろに下がりつつある男に対し
歩み寄りながら
今までのことを思い返して
念によって光景を伝えながらも、風刃を向け続ける。