第28章 想い
大きな部屋に入った中、即座に歩みが止まる迅
迅「!」
遊真「どうかしたのか?」
姿も声も感じないようになっている中
互いだけを感じられるようにしていたため、尋ねると…
迅「…いや…
(未来が変わった…
何かあったな、ボーダー本部で(微笑))
生き永らえさせるぞ、あいつを…」
『おお!!』
微笑を浮かべながら、そう言い
二人が応えるように、真剣な表情を浮かべながら拳を上げる…
その中、球体の中で秀次が目覚めた…
ほどなくして、過去の映像が浮かぶ…
過去の中で、辛く苦しい…
今もなお残っている闇を…
帰ってきても、苦しそうにしている姉の姿を見て…
無理に笑っている姉の姿から、心を痛めていたことも…
全てがリアルに感じるようにしていた…
しかし、秀次の脳裏では…
そんな中、恵土が居てくれたこと…
どんな時でも真っ直ぐに向き合ってぶつかって
手を差し伸ばして、笑いかけてくれたこと…
とても嬉しそうに、楽しそうに…
それがたまらなく大好きだった…
とても嬉しくて、たまらなかった…
どんな時でも…
そうだった……
秀次の、そんな想いが吐露されていく中…
トリオン体に稲妻が走り、光を放ち始める…
(888ページ参照)
その様子を窺いながら…
「数値、上昇!」
「信じられん…
たかが想いだけで、これほどまでに上がるのか?」
遠征艇で近界民たちが呟いていた…
「拭い去れない闇のはずだ!!
苦しみで押しつぶされてもおかしくない闇を
無理やり押し付け続けているはずだというのに!
何故闇に飲み込まれない!!
何故、力を暴走させない!!??始祖神よ!!」
そう叫びかける中…
迅「解らないか?」
「!何者だ」
迅「今、球体の中に閉じ込められている
大事な仲間だ(微笑」
サングラスを付けたまま
振り返る男に対し、風刃を目の前につきつけながら言った。