第28章 想い
恵土「おかしいとは思ってたんだ…
近界にいた時、何度殺されかけても傷付けられても
目を覚ませば、傷は何もなかったようになっていた…
あいつが、治すように働きかけ続けてくれていた…
そう気付いたのは、最近のことだ」
風間「何で俺に…」
恵土「…最初に、言ったはずだろ?
お前と初めて、ボーダー以外の場所で会った時に」
風間「…」
恵土「お前の兄を殺したのは、私だ。
あの時…
もう少し早く駆けつけていれば…」
腕組みをしながら、左腕を強く握りしめる…
恵土「といっても始まらないし変わらない…
お前が父親と母親の下に帰れてよかったと思ってるが
私は、お前の兄の代わりにはなれないし
ましてや、お前の姉になれるわけじゃない…
それでも…
『また会うことがあれば、教えるよ。
お前の知りたいことを、全部な…(微笑』
あの時、幼かったあいつ(秀次)と重なって…
つい、そういう言葉を零しちまった…(目を瞑る」
思い出しながら、座ったまま
仰向けになりながら、それを支えるよう後ろの方に手を置く…
恵土「…お前なら、聴いてくれるかなって思ったんだ…
真面目に、ちゃんと理解しようとしてくれるかなって…
他の奴等には、重荷になっちまうから…
すぐ、何らかに出そうな感じがするから…
迅とかだと、予知で見えてそうだけど…
あいつは、なんだかんだ言って何でもかんでもばらす奴じゃないし(微笑」
風間「…」
恵土「ただ、私の身勝手なもんだ。
知って欲しい。理解して欲しい…
抱え込み続けてるのは、結構苦しい…
苦しんできた中、逆に苦しんでしまうんじゃとも思ったが…
耐えきれず話したくなって
結局、話す相手に選んだのが…
お前だった…
『一人で抱え込むな』って辛くて苦しんでる時に言ってくれたろ?
あれ、すっごく嬉しかったんだ^^」
風間「!…だから」
恵土「ああ。包み隠さずいったんだ(微笑」
ろうそくの火が揺れる中
座布団に座ったまま、語り出された…