第28章 想い
ぼぉっ!!
白い光に包まれ、温かさが場内を包み込んだ…
恵土「なあ…
これのことだとしたら、つじつまが合わないか?」
風間「!!
…それを俺に話して、どういうつもりなんですか?」
恵土「お前は口が堅い。
ただ、話しておきたかっただけだ…
見ていいよ、これ」
そう言いながら、日記を右手で風間へ差し出した。
風間「…;(汗」
それを取りながら、めくっていった…
恵土「事細かに毎日の出来事が書いている。
だが、3月18日の所を見てみろ…
始祖神を復活させたらしい。
その記述によると
私は「現身(うつしみ)」…
始祖神を蘇らせるため
始祖神の魂を、己の魂に吸着させており
始祖神に選ばれた、復活のために必要とされるだけの…
そのためだけに生まれた存在なんだと…」
風間「しかし、恵土先輩は生きて…」
恵土「ああ。生きてる…
それでも…
そこにある通り、始祖神の力…
ヴォルフと呼ぶらしいが、そう呼んでも否定はしなかった…」
風間「!恵土先輩が、流尾(りゅうび)と呼んでいる?」
恵土「ああ。そうだ」
風間「だとしたら…この話は」
恵土「ああ。嘘偽りない、本当の話だ。
そして…
始祖神の力が尽きれば、私は死ぬ」
風間「!!」
恵土「元来なら、私は死んでいたはずだった。
役目を終えれば消える。死ぬ…
そう、現身として生まれた時から運命は決まっていた…
そのはずだった……
だが、始祖神の力の権化であるヴォルフ自身が
私のことを想う心が芽生えた故か
私の愛を受けて、愛に目覚めた故か…
私を、生かすように働きだした…
そして始祖神自身は、自身の力を持っているから
ヴォルフ自身に命じた。
最後の命令として…
『好きなように生きろ。お前は自由だ』と…
結局の所、始祖神を復活させて力尽きて
存在も、体も、魂も…消え失せるはずだった自分自身を
始祖神の力が
この世に引き止め、生き永らえらせてくれた…」