第27章 未来への進撃

そう言いながら、恵土を抱き寄せた…


恵土「！」

秀次「普通の環境で育たなかったんだから仕方ねえとは思う。

当たり前の基準も、どこかずれてて当たり前だと思う…


そういうもんだろ…人っていうのは…

どこかずれてて、それでも一緒にいたくてぶつかり合う…


それでも、最後には笑い合って…

幸せだと感じる…



…全部、あんたが教えてくれたことだ…



俺はまだ、近界民を許せていない。

近界民を見ると、全て殺そうとしたくなる…


それでも、あんたはそれごと俺を愛してくれただろ？



そんな俺を…
殺人者にさせないように、護ってくれてるだろ？

ずっと…
どれだけ拒否しようが、俺を護り続けてきただろうが…


過去を切り捨てろとは言わねえ…

今だけのために生きろというつもりもねえ…

未来のために生きろとも……


でも、それごと全部ひっくるめた今のお前が好きだからこうしているんだってことだけは忘れるな…


頼むから…

もっと、自分を大事にしてやってくれ…」


恵土「…逆に、苦しませてた？悲しませてた？」

抱き締められた体勢から
少し体を持ち上げ、涙をぬぐいながら尋ねると


秀次「そんな風にされて、苦しんだり悲しまない方がおかしいだろ。


あんたにとって、俺が「掛け替えない存在」だって言ってくれたように…

俺にとっても…
あんたが、一番大事な「掛け替えのない存在」なんだからよ…」

右手で再び頬を撫でながら

見つめ合うように視線を向けた…


恵土「…秀次…；

ごｍ……

いや…
ありがとう；；（ぼろぼろ」

秀次「泣く必要なんてないだろうが…

俺がやりたくてやったことだ…


お前が、今までそうしたようにな…


だから…自分で自分を苦しませる真似はやめろ」

恵土「頷）うん；（涙目」


秀次「それで苦しむ人がいることを忘れるな…」

恵土「頷）うん！；（涙」


秀次「そして…頼むから、死ぬな」

恵土「強く頷）うん！！；；

ありがとおっ…；；（泣き震え」


最後には、声をひきつらせながら

涙ながらに、互いを抱き締め合う二人…