第26章 映画
迅「それと同時に…
俺にとっては、生きる上での希望となってくれた人だ」
夕暮れの日を背に、左手を満面の笑みで差し伸ばす恵土の姿が…
まぶたに焼き付いていた…
それに走りながら追いつき
その左手を取って、繋いだまま
一緒に笑い合って、歩いて玉狛支部へ帰る場面が脳裏によぎる。
迅「あんたが居てくれたから、俺は前に進めた。
大事なことを、たくさん知れた。
あんたが居なきゃ、考えられなかったことだ…(拳を握る)
これから先も
俺は、あんたと一緒に生き抜いていきたいと思ってる…」
恵土「…え」
迅「俺は、あんたがいる空間が好きだ。
一緒に笑って、温かくて明るいあの居場所が好きだ。
そのためには、誰も失わせちゃいけない。
誰も傷付けさせちゃいけない。
まだ会ったことのない天羽だってそうだ。
だから、あんたは助けようと必死になったんだろ?
見知らぬ奴が相手でも、大事に想って助けようとするように…
(言いながら、脳裏に大規模侵攻時に親子を護って傷付いた光景が浮かぶ)
だから…今度は俺が護るよ」
恵土「!」
その言葉に驚きを隠せぬ中、止まらぬ想いを
言葉として紡いでいた…
迅「あんたが、今まで俺たちを護ってくれたように…
俺たちと向き合って、救い続けてくれたように!
これから先…
誰一人として、ベイルアウトもさせない」
風刃の先を向けながら、そういう迅…
それに恵土は、涙をうっすらと浮かべていた…
恵土「ふっ…(微笑)
馬鹿野郎が…;(涙目」
その迅の言葉に、奮起したかのように
その場に居た全員が全員奮い立ち、立ち上がり
真剣な眼を浮かべながら
迅の援護をするように攻撃と防御が交差し続けた…
その言葉を実行するために…
ただ一人の、心からの笑顔のために…
傷付き果てた心を、これ以上傷付けさせぬために…
そして現在…
その互いの想いが重なり合う中、温かな光と共に朝日が昇る…
それと対照的に
最後に星明かりもまた、一段と明るくボーダー施設を照らす……
もう、大丈夫だとでも言うかのように……
(12月14日AM3:16更新、801~807(7ページ))