第26章 映画
恵土「ありがとう;
本当にありがとう、皆;」
グスグス泣き続ける中
今までの黒い雰囲気が消え、とても嬉しそうに微笑む皆が居た…
見たかったのは…
また全てを失って泣き崩れる姿じゃない…
ただ、こうやって…
皆と過ごして、笑い合えたり
下らない事でも一緒にやったり
また再び、笑う恵土が見たかったからだった…
迅が恵土のバイパーを避けながら斬りかかり
がきぃん!!
刃を交えながら、互いに斬撃を続け
と同時に、一瞬で作り出したバルブを迅へ放ち
迅が後ろに飛びずさったと同時に
その前方にボーダー全員のフルガードのシールドがかかる。
恵土「…何でだ…」
迅「?」
恵土「どうしてそこまで、私を想える?
散々迷惑かけてきただろ。
昔から抱えてきた心の傷も暴露して
精神的にも肉体的にも、負担も全てかけ続けてきただろ…
そんな私を、どうして助けようとできる?」
戦いを一時中断させ、真剣な表情で尋ねた。
素朴な疑問だった…
迅「…俺は
戦術も、戦い方も…あまり教わっていない。
それらは、最上さんに一任されていたから……
それでも俺は、あんたから
たくさんのものを託されてはもらってばかりだ…
このサングラスも…
あんたがこしらえてくれた上着も…
今までもらった、全てのものも…
託された想いって奴も…全部……
(目を瞑りながら、胸を左手の親指で差す)
あんたがいたから、最上さんを手放すことになっても笑っていられた。
ちゃんと考える大切さってのを、感じ取れることができた…
教わったことは、他の奴等に比べれば少ないかもしれない。
傷付いたあんたの心を、あまり癒やせなかったかもしれない…
(風刃を見やりながら言う)
それでも、俺にとってあんたは…
人としての、心の在り方を教わった師匠だ!
(顔をあげ、恵土と向き合う」
恵土「!」
その言葉に、恵土は驚いていた…