第25章 傀儡(かいらい)
「ふんっ。
それがどうした!?
誰もいなかっただろうが!!
ほっとけよ!!!(腕を近付かせまいと横に振る)
どうせ俺を助ける気もないんだろ!!!!
消えちまえばいい存在だと今でも思っているんだろ!!!!!
幸せになんてなった所で
喜ばない奴等ばかりだろうが、この世の中はあっ!!!!!!」
悲痛な表情をしながら叫びまくっていた。
恵土「…私も、ずっとそう思ってた」
「!」
恵土「それでも、縁はあっただろ?」
「…うるさい」
恵土「おかげで、再びあいつらに出会えた。
秀次に出会えた。皆に出会えた。
大事な日々を、そのおかげで学び取れただろ。
どれだけ自分を犠牲にしても、喜ばれると思ってた。
その常識も、失った彩も
全てを凌駕するものをもらったはずだろうが!!」
「黙れ!!!
傷を癒やしたとしても一時期だけだ!
傷付き過ぎて、傷付けなくなった心を誰が癒やせる!!??
誰が救い出せる!!??」
恵土「…温もりだけで十分だろ。
私は、一度すべてを失った。
知ってた世界も、村も…希望も…
強ければ護れると思ってた。
大丈夫だって、信じて疑わなかった…
それでも…
守れなかった!!約束でさえも!!!命でさえも!!!!
その上、風月流の流儀に反した。
トリオン兵を殺した。
トリオンを注げば何度でも蘇るにしても、殺したと同じだ。
それでも、生きるためにやむなしと思えば
再びそうしたとしても、それを何とも思わなくなる。
それをおかしいとも思わず、疑わなくなる。
だから…決めただろ」
「黙れ」
恵土「そんなのは嫌だから!」
「黙れ!」
恵土「二度と繰り返しちゃいけないから!!」
「黙れ!!」
恵土「忘れずに背負い続けるしかないんだと!!!」
「黙れと言っているだろうが!!!
一番楽な方法をとれよ!!
また全部失うくらいなら
また誰かに全てを奪われるくらいなら、自分で殺した方がマシだろうがっ!!;(涙」
恵土「ふざけんな!!
んなことさせてたまるか!!!」
意識が完全には飲まれぬ中、
闇に包まれた心の中で、戦いが続いていた…
体外と、心中とで…
(12月11日AM5:38更新、758~766(9ページ))