第25章 傀儡(かいらい)
その直後、悟った…
恵土(そうか…
こいつ、人の闇を利用して意識を乗っ取るのか?
ということは…)
「お前は、これからもそうする!!
また
何度でも同じように傷付け、殺していく!!
その度に何度でも自分は死んだ方がいいと思うだろう!!
俺なんかはいない方がいいって誰もが思ってるんだよ!!!」
恵土「こいつは…私の中に潜む闇なんだな)
…誰もがそうだ」
「ああ!?」
歩み寄りながら、紡がれる言葉
恵土「誰もが、胸にそれを抱え込んでいる。
傷付くことに傷付き、傷付けることにも傷付き悩み
殺して嘆き、殺されて嘆き
殺すことでしか、喜びを感じられない人だって世の中に入るだろう。
私は、人と接することで味わう傷や痛みについては
万人共に共通していると思っている。
傷付け、距離を置き
自らの心をも殺し、そうすることでしか両方を護れなかった。
それ以外の方法で
護れるわけがないと、勝手に決めつけていた…
それを喜ぶ人がいないのだと解らないまま…ずっと……」
うつむきながら、足を止めて感慨にふけるながら紡がれていく
それでも、再び歩みだしながら言い出す
恵土「それでも…
始祖神の記憶、全ての世界の記憶、一族の長たちの記憶と経験。
…全てを受け継いだからには
目をそらしちゃいけないものが、目の前にあるのも解っているはずだ。
ないがしろにしちゃいけないものだって、ここにある。
その想いがあったのも事実だ。
その悲しみから自暴自棄になって
この世ごと切り裂きたいと思ったことが無いわけじゃない。
あの時、助けてくれなかったくせに。
助け出して、居場所なんてくれなかったくせに。
居なければよかったって思っているくせに。
…言い出していけばきりがない。
様々な疑念が生じては、ゆがみを経て
悲しみや苦しみ、果てのない痛みを味わい続け
正しいことさえもわからなくなる。
一時期は、人とかかわるだけで気が狂いそうにもなった。
そりゃそうだ。
人によっては、正しいことなんてのは異なってくるんだから」
目の前に立ちながら言う恵土に対し
内に潜む闇は