第25章 傀儡(かいらい)
鬼怒田「しかし
使った分のトリオンについてはどうするつもりだ?
恵土のように、空間ごとトリオンの分散を無にはし切れんぞ」
迅「だから、仮想戦闘モードを使う」
『!』
鬼怒田「しかし、恵土がトリガーを使えb
迅「それについては問題ないですよ。
ほら。恵土が秀次に渡したままにしてある。
さっき、返そうとした時に
恵土が秀次に預かっててほしいって」
秀次「なるほど…
こうなることを想定した上でか」
唐沢「そういえば、昨晩にトリガーを発動させてみたが
それとは関係なしに物質の侵攻は進んでいたようだからな…」
迅「だから、恵土は生身のままで
俺たちをねじ伏せようとしてくると思います。
トリオンがただでさえ少ない状態ですから
トリオン体を生成する際に用いるトリオンの分も節約するために」
鬼怒田「なるほど。
とりあえず、今回だけブラックトリガーを使う迅
そして天羽は仮想戦闘モードを使えんが大丈夫か?」
迅「あ~。大丈夫。
周りは強いし、危ない時はフルガードを期待してるよ(微笑」
忍田「動き方に関してだが
最短ルートをマップに入れておいた。
おそらく恵土は生身で来ると思うが
恵土もまた、同様に相手のトリオンを全て読み取り
自身のトリオンへと変換することができる。
自身のトリオンなら尚更回復に用いられる可能性が高い。
それを空間ごと結界で無効化させるにしても
その密度を、恵土のトリオン密度が上回ればとられるのがオチだ。
早急な決着が必要となる」
鬼怒田「最大で2時間だと思っておけ。
恵土の少ないトリオン量でも回復は
常に、相手や空気や物質などの密度によって変わってくる。
一応、地下の物質のトリオン密度も下げておいた。
それまでに恵土を
気絶か、あの物質の外し方でも考えておけ」
迅「…鬼怒田さん。
トリオン体で生み出した武器は
物質を切り裂けるけど、人体に関しては無害でしたよね?」
鬼怒田「!!
…そうか。何で今更気付いて」
迅「そう。でも…
問題は別にある」
そう言い切る迅の顔は、どこか真剣な表情をしていた…