第24章 迅悠一
いつだって…
どんな時だって…
本当に優しくて、共にいたいと思える…
悪ふざけでさえも、相手を笑わせたり
不安や辛さから救い出すためにやっているのは目に見えていた…
本当は、玉狛支部に居る誰よりも
もっと辛い目に遭わされていたのに…
そう物語っていたのは…
恵土の、人生や人道に対する達観さだった…
もっと、知りたい…
そう、恵土の頭を撫でながら思った直後…
ある風景が見えてきた…
たった一人、瓦礫の中で走り回り…
知っている全て、全員の死骸を見つけ
雨の降る中、泣きじゃくる恵土の姿が…
そして…
お前の居場所なんて、どこにもないんだよ!
お前は消えないといけない存在だ!!
いちゃいけないんだ!!
あっちへ行け!よそ者め!(石を投げつける)
死ねよ!
次々に投げかけられる言葉
あいつらの言う通りだ…
もっと少しでも早く帰っていたらっ
そうしていれば、きっと助けられた!
自分なんか、最初からいない方がよかった;
誰だってそう言う!!
誰だって実際、そう望んでいる!!
私は自分で、居場所も大切な人も失ったんだ…
知る世界、全てを…自分が自分で奪ったのも同じだ…
その上、自分なんかは
怒りに任せて、現場に居たトリオン兵を片っ端から殺した;
トリオン兵が皆からトリオン器官を奪った際に身に着けていた「返り血」を
両手に浴びてもなお、私は止まらなかった(両手を広げて見つめる)
汚れている…
こんな自分が、受け入られるわけがない…
血縁者でもない限り…居るわけがない…
そんな言葉と想いと共に、視界の全てが暗闇に包まれ
両膝を抱え込みながら、顔を両腕の中へうずめた…
そんな中、一つの光と共に
笑顔と共に、その手を迷いなく優しく握りしめる子供がいた…
恵土「秀、次…」
涙と共に、思い返される日々…
それらはとても眩しく、温かいものだった…