第24章 迅悠一
恵土「本当に憎むべきなのは…
殺しても傷付けても、何とも思わない心…
その過去があったとしても
その傷付けて殺した人たちに、反省もしなければ謝ろうともしない心…
される側の心にもならず
それまでに抱いてきた苦しみに、寄り添おうともしない心…
そして…
最後のこれが、一番難しい…
苦しみが一杯になって、「傷付ける」っていう過ちをした…
そんなのは、誰にだってあることだ。
怒りで一杯になって八つ当たりしたり
哀しみで一杯になって泣き散らして、物を投げつけたり…
その傷付けるが、殺すになる人たちだっている。
それが、余裕をなくした近界民たちだ…
だからといっても
その人たちの苦しみや悲しみを解ろうともせず
全部を拒絶して、勝手に悪い奴だって決めつけて
そして殺していけば、傷付けていけば…
あいつらと、何ら変わりない人間になっちまう…
それを乗り越えられるよう
それによって二度と繰り返させないようにするためにも
そいつも
そいつの傍に居る大事なものたちも笑っていられるように
支え合って、寄り添わないといけないんだって思った…
そして…
一番憎むべきは、その悲しみや苦しみに気付いていながら
支えようともせず、寄り添おうともしない心だって…
そう、思ったんだ…」
後で、ある作品のとある奴が嫌いだって言ってたのは
それが理由だっていうのは
今はもう言わずともわかってる…(170~172ページ参照)
だから、克服できないのも解ってる…
必死に考えて導き出した
たった一つの道で、これまでの歴史に対する答えだから…
恵土「それらが災いを呼び起こし、争いを呼び起こし
同じような悲劇を繰り返すばかりになる。
大事なものを失って、いっぱいいっぱいなのは解ってる…
喪失感もあれば、自分が何も出来なかったってやるせなさで
どうにかなってしまいそうになるのだって解る」
その言葉を聴くうちに、座り込みながら
大切なものを失った当時を思い出してか
その殺そうとしてきた男は、涙を流していた…