第4章 過去
次第に速度は上がっていき
気付けば、凄まじい勢いで走っていた…
誰にも、話しかけて止めることができないほど…
そのまま、外へと走り出していくも…
ポツリポツリと雨が降り出していた…
恵土「はあ…はあ…はあっ;(涙」
それにも拘わらず、必死に走り続け
頬に伝う涙と雨の雫の中、玉狛支部についた…
その頃には、もう疲れ切ったかのようにも見えた…
入っていくも…
出てくる者は誰もいず、ただ一人で部屋に戻っていった…
恵土「…」
黙ったまま、その日本刀を
最初からそうだったように、壁の取っ手へとかける。
恵土「…私がいたから、なんだよな?
…なら、それを抜きにしてどうするんだよ…
背負い過ぎて、崩れていくことを望まないのは知ってる…
それでも…
…それでもっ…
背負わなきゃ、それまでのものは何だったんだよっ!;(涙」
頬を伝う涙…
心の中の暗雲は立ち込め、
恵土「私は…っ;
私は、ただ一緒に居られるだけで良かったんだ;
それ以上の幸せなんてないんだよ…;
喧嘩してもいい、
修業で厳しくされ過ぎて泣かされたってかまわない…
ただ…
一緒に居るだけで、それだけで笑えるから…
とっても幸せでっ;喜びを感じていられるから…っ;;」
その日本刀へ向けて言いながら、涙を零し
拳を握り締めながら
零れ落ちる涙と共に、膝から床へ崩れ落ちる…
恵土「それだけで、本当によかったんだよ…;
それ以上のものなんてないんだ…;
無いんだよ…;;(泣き震え」
そのまま、太ももの上で拳を握り締め
頬を伝い、ぼろぼろと涙が流れ落ちていく…
それが、本当に大切なのだと
そういう想いと共に…
届いて欲しい、それでも届かなかった願いと夢…
それだからこそ…
使う資格はないと、自分をいましめた…
自分自身の力で、戦い抜くことを決めた…
その両親たちの命を背負った上で、そうすると決めた…
二度と、同じ境遇の人を出させないために…
同じ悲しみに覆われる人たちを、少しでも減らすために…
しかし、時は残酷で
過ぎ去った時間は戻らない…
第一次近界民侵攻には
遠征で入れ違いになり、護れなかった…
その悲しみもまた蘇り、涙が零れ落ちていく…
激しい雨の中、豪雨と同じように…