第4章 過去
城戸「そんなに気負うことを望むとは思えんがな」
恵土「…とりあえず、これにトリオンを送って
何もなければ帰っていいってことですよね?」
城戸「ああ」
恵土「解りました。
じゃあ、今から送ります。
ここでも大丈夫ですか?」
城戸「別にかまわない」
その言葉に対し
恵土は、トリオンを日本刀へと送り込んだ…
すると…
それでも、何も変化はなかった…
城戸「やはり、お前のトリオンでないとだめのようだな」
恵土「?一体何を」
沢村「やはり、結界が張られいます!」
いぶかしげに首をかしげる本人がいる中
堂々と叫ぶ、ボーダー本部長=忍田の補佐の沢村。
恵土「?何が何だか;」
忍田「僅かに残されていた映像から
結界のようなものが、僅かながら視認された。
恵土を護ろうとしたのではとも考えたが
その日本刀に何かを仕込んだことだけは確かだった。
今日、君を呼んだのはそれを確証へと変えるためだ」
恵土「…」
それに対し、眉間にしわを寄せる
城戸「まるで、気に食わないとでも言いたげだな」
恵土「そりゃまあ…
私なんかを護ろうとしていたんだって…
その私が、死なせたも同然なのに…」
城戸「そのようなことはない。
第一、どちらにせよ危険なことに変わりはなかった。
もともと、二人はトリオン量が異常に多い方だ。
それが固まり、なおかつより異質な恵土がいた。
それら等の要因が重なり、起こりうる出来事だ。
そんなに気に病むことではない」
恵土「ズキンッ)っ…
はあ~(溜息をつきながら後ろ頭をかく)
村人の全員を殺されて
私だけのうのうと生きているってだけでも苦痛なのに…
どうやったら、そんな風になれるんだよ」
城戸「…
両親がどのような人物だったかを、よく考えればいい。
日本刀は、お前が持っていていい。
それに、何が込められているかを考えるといい。
話しはこれまで、解散」
その言葉に、背を向けながら
恵土は再び、玉狛支部へと歩き出していた…