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鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第24章 迅悠一




長「すみませんでした、うちの若いものが(深々お辞儀」

恵土「気にしないで下さい。
近頃、近界民から襲撃を受けたと聴きました。

近界民から襲撃を受ければ、当然の反応です(微笑」

申し訳なさそうに謝る年よりじみた長から、不測の事態なのだと理解した。

そして安心させようと、恵土は笑いかけながら許していた。


男「近界民は全て敵だ!!
とっとと出て行け!!

醜い化け物め!!」

長「こら!!

早く奥に連れて行きなさい!」

そんな会話の中、恵土は平然と男の下へ歩み寄っていた…


男「ふっ。どうした?殺すのか?

あの時殺してきた近界民みたいによ!!
やれるもんならやってみやがれ!!!

俺なんて生きてたって死んでたって同じだろうが!!」
ぱあん!

その言葉を聴いた直後、恵土は
左手でその男の頬へ平手打ちをした。


男「…」

恵土「…悲しむものなら、そこにいるじゃねえか。
長は、あんたのためを思って行動してるんだ。

それに…
死んだら二度と話も出来ない。
二度と心を交わし合い、ぶつけることだってできない…

生きてさえいれば、出来ることは山ほどある。


やけになって決めつけて、行動しないのは
生きているとは言わねえよ。


ただそんな自分を受け入れてくれる現状に甘えてかまけて
改善しようともしないまま、生きてたって…

そんなの、死んだ奴等は望まねえよ。


私は、村ごと殺された。

たった一人生き残った。


それでも、全員が全員悪い奴等じゃないって解ってる。

向き合わなきゃそんなの解らないし
ぶつかり合わなきゃ、なおさら解らないままだ。


近界民だから、全員が全員そうだって決めつけて
恐れて距離を取って、殺そうとし続けていたって

そんなの、ただ逃げているだけだ。


向き合うことに恐怖し

それを見ただけで、殺された場面を思い返して殺したって…


その先に何が残る?

その殺された人の家族や友人…
大事なものたちが嘆き悲しみ、同じようになることだ。


知りもしない人たちだったら、悲しんでもいいのか?

そいつらが、お前と同じように最後の家族で
たった一人で泣くことになっても、同じことが言えるのか?

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