第24章 迅悠一
『近界民を、近界民としてひとくくりにするな。
人が人としてひとくくりにできないように
近界民もまた、ひとくくりとしてみてはいけない。
一人一人が、各々の人格をもって
心をもって、行動して生きている。
その人は、その人自身の責任がある。
その人の信念があり、道がある。
その人にしかない歴史があり
積み重ねがあり、今が成り立っている…
だから、近界民全てを嫌いにはなるな。
憎まず、恨まずとは言わない。
ただ、その人にある大事な人達にとっての
笑顔や、これからの日常…
それを護るために、力を使って欲しい。
二度と、繰り返させないために…
同じ思いをして、哀しみ苦しみ続ける人たちを増やさないために…
それらから護り抜くために、その全てをぶつけろ!
感情に絶対に飲まれるなとは言わない。
ただ、その後に起こることを決して忘れるな。
何のために必死に努力してきたのかを忘れるな。
護り抜くために全て叩き込んだことを忘れるな。
それまでの積み重ねを、決して無意味にするな。
人として生きろ。
人として強くなれ。
乗り越えるべきは、己の中に巣食う闇だ』
近界民たちと笑い合っている恵土を見て
そう言いたいのだと、俺たちは確信していた…
でも…
「近界民め!!」
若い男が、恵土に襲い掛かっていた。
即座にレイジさんが斬ったけれど
「!」「殺したのか!?」
恵土「いえいえ。
こちらのトリガーは生身には何の害も示しません。
ただ気絶させるだけです。ほら^^」
相手を起こしながら言うと
周囲もほっとしたような顔をしていた…
だが、なおも襲い掛かろうとする若者で
それを周囲から抑えられていた…
レイジ「何をs
ばっ
問い詰めようと近寄った中、恵土が即座に入って黙らされた。
すると、取引をする相手の長が
その恵土へと歩み寄ってきた。