第24章 迅悠一
恵土「私も、悪夢にさいなまれ続けた日々があった…
苦しんで苦しんで、それを話すまいと躍起になるばかりだった…
「私を理解できるのは、私一人だ」って思い込んで
悩んではふさぎ込んでばかりだった…
実際、話さなければ解ってくれるわけもないし
その悲しみや苦しみだって、経験していなければわからない…
それでも、お前は一人じゃない。
同じ殺された経験を持つ人だっている。
すぐ傍に、寄り添ってくれる仲間がいる」
迅「!」
その言葉に、俺は驚きを隠せなかった…
それでも、川に目を向けたまま言い続けていた…
恵土「だから、とても嬉しいし
どんなことをしても、またぶつかり合ってくれるって解ってるからこそ
どんだけ馬鹿なことだってできるし、受け止め合える…
だからさ…
その苦しみも哀しみも、私にぶつければいい。
私が、いつでも受け止める。
それらは全部、一人では乗り越えられないようなものばかりだ…」
そう微笑みながら…
俺に愛おし気な眼を向けながら、その頭を撫でてくれた…
迅「俺は…」
拳を握り締めながら、絞り出すように言った…
迅「俺は、ここにいてもいいの?」
恵土「いいに決まってるだろ^^」
そう言いながら抱き締める恵土に
涙が止められなかった…
そうして泣き出した俺に
その背を摩りながら、川を見せていった…
恵土「人生ってのは…
川の流れみたいなものだ。
最初から決まってるものでもないって思ってても
どうしても変わらない部分もある。
それでも
どこがどう繋がっているのかなんてのは解らない。
互いに影響し合って僅かな変化が起きて
僅かな影響が響き合うことによって
未来が僅かなり変わり
分岐点だって変わることだってある…
そして、どうあっても変わらないのは…
生まれた所と、行き着く先…
…すなわち、生と死だ」