第24章 迅悠一
それでも俺は…
母親を目の前で失った過去からか
悪夢にうなされるようにもなっていた…
そして、近界民自体を憎みそうにもなっていた…
その時…
雨に打たれながら、俺は…
帰るべきか、帰らないべきか悩んでいた…
川のほとりで…
うずくまるように両膝を抱えながら…
恵土「お~い、迅!」
迅「!・・(ビックゥっ!!」
恵土「…(苦笑)
帰るぞ?(微笑&左手を差し伸べる」
迅「…いいの?」
恵土「ん?」
迅「…俺が、あそこに居てもいいの?」
恵土「何言ってんだ?」
迅「だって…
俺は、あそこにとったら「よそ者」だろ?
俺の帰る居場所なんて…」
恵土「居場所なら、ここにあるさ」
迅「!」
恵土「お前が帰りたくないなら、帰るまで待つ」
迅「何で…」
恵土「苦しいのは一緒だ。
私も、近界民に殺された口だ。
しかも、村ごと全部だ」
隣に腰掛けながら、衝撃的な事実をつきつけた。
迅「!!」
恵土「本当のことだ。
それで…
帰ってきた私は、居場所がどこなのか解らなくなった…
近界へ一時期行っていた。
理解するために、解るためにぶつかりに行った…
それでも…
やっぱり、こことは変わってなくって…
誰も奪われたくはなくってさ…
文化や伝統は違えど、笑顔は変わらなかったよ…
共に過ごす家族も、その笑顔も…
護るべき尊いものだっていう自覚も…
だからかな…
尚更、その妨げになりたくないって思ったんだ…
だから、居場所なんてあるわけないって思ってた…
距離を取ることで護りたかった…
その笑顔が見られるなら
どんだけ馬鹿に見られてもいいって…
考えながら馬鹿やったりもしていた…(微笑)
と言ってもまあ、本気でぼけてるんだけどなb(キラン)
笑えたろ?」
迅「くす)うん(頷&微笑」
恵土「それが大好きだから…
失ったものの気持ちが解るから、なおさらそうしちまうんだ…
ウザいって言われてもいい。
どんだけ嫌われたっていい…
あいつらが笑顔で、過ごせてさえいれば…
何もいらないんだ…
それ以上のものなんて
この世にはないって思ってるからさ」
空を見上げながら笑う恵土は…
何でか…心の中では泣いてるように見えた…