第23章 激動
烏丸「今さら何言ってるんですか、水臭い。
どちらも護り抜くに決まっているでしょう?」
レイジ「俺だって思いは同じだ。
確かに、家はここ以外にないが
居場所自体は選んでいるつもりだ。
俺は、お前も護り抜きたい」
恵土「それで傷付かれる方が、私は嫌なんだよ!!」
辛そうな顔をしながら、叫ぶ…
同じような悲劇は、繰り返したくはなかった…
自分が要因で、全てが奪われることも…
全てを失うことも…
(一人、雨の中で暗闇の中
瓦礫の中でひざまずいて、両手を地につき
呆然自失となっている場面が、脳裏に浮かんだ…)
小南「それでやられるようなものだったら
それまでだったってことよ」
恵土「っ!!
それでも!」
小南「考えても見なさいよ…
あんたが、直々に鍛えこんできたんでしょ?
私たちを、玉狛第一として」
恵土「!」
小南「あんたのそれが…
そのうわっつらしか見ない奴がデブっていう筋肉が
どれほどの想いの結晶なのかぐらい、私も十分解ってるわよ。
だから…
私だって、そんなあなたを護りたいから強くなったんじゃない。
ただ純粋に勝ちたかった…
その、私を護り抜いた背に追いつきたかった…
いつだって優しい温かさも
寄り添ってくれた、心も…
ふさぎ込んで、隠れていた自分を
見つけても、無理やり外に連れ出すのではなく
一緒に隠れて
一緒に居ると楽しいって笑いかけてくれたことも!
一人でいた時に、手を差し出して
一緒に手を繋いで、玉狛支部へ帰ったことも…!!
今までに築き上げてきた日々は、決して変わらない。
その重みも、大切さも…
今だって忘れたわけじゃない!!
…だから、あなたを殺させはしない!!
どちらも両方よ!(真剣」
恵土「…」
レイジ「さっきも言ったが…
俺も気持ちは同じだ。
俺もお前も、生半可な想いで鍛えてきたわけじゃない。
俺たちを信じろ。
お前の信じる、俺たちをだ」
肩に手を置きながら
ベッドに腰掛けたままの恵土に、真剣な表情で語り掛けるレイジ…
恵土「…ああ…ありがとう」
それに恵土は…
涙を零しながら、礼を言った…