第23章 激動
そして…白帝とは……
その状態を引き出すものでもあった…
生身においての始祖神の力
トリオン体においての始祖神の力
双方を掛け合わせ、あり得ぬ力を引き出すもの…
それが白帝の力であり
村人たちの「愛の結晶」でもあった…
7歳の誕生日の時、力は一時的に弱まった…
全ての力を譲渡したが故か、眠りにつくことが多い。
そのため、闇を意識することがない分いいとは思った。
だが、再び毎日起きて日常を送るようになれば
その闇が光をうわまって苦しめ続けることは目に見えていた…
それによって、恵土が闇に飲まれることを危惧した祖父は
恵土を護り抜くために、その記憶ごと紋章を封印することにした…
姉が紋章を持たぬが故に、村の長になれぬことも
一族の紋章や始祖神の力に関わるもののほぼ全てを…
それにより完全に思い出すことはなくとも
魂に宿した、身体に宿した記憶は変わらぬままに…
たとえ脳が忘れ、認識できなくなったとしても…
そして…今に至る…
そのような夢を見て、脳が全てを思い出した時…
「け…と!…けい…恵土!!」
一つの声に、瞼を開けると…
恵土「!…秀次?」
遊真「なかなか固いな、これ」
秀次「切り裂け!時間がない!!」
恵土「?何が?(きょとん」
「爆発まで、あと30秒」
恵土「ええ!!!??;
私が気を失ってから何してたんだ、お前ら!!;」
秀次「話してる余裕なんてあるか!!
先に脱出することだけ考えてろ!!」
そして遊真が布団の上から結ばれていた縄を切り裂いた。
その直後、秀次の持っていた白帝が白い光に包まれ
ゲートの外へと放り出された…
恵土「っ~;
ありがとう、ヴォルフ;」
『気にするな。
私の一部であり、お前の一部でもあるからな。白帝は』
恵土「っていうよか…
なんだこれ;トリオン兵の残骸ばっか;」
そう呟く視線の先にあったのは…
倒されたトリオン兵が、山積みになっている所だった…