第23章 激動
お前は選ばれた。
始祖神が生み出した、全ての世界…
全てが、自らを糧として愛によって生み出された子ら…
そして始祖神は…
それによって、再び還ってくることを望みながら消えていった…
その生末(いくすえ)を…
その先にある、子らの幸せを誰よりも望みながら…
その神を…
始祖神を、忘れてはいけない…
もしも始祖神がはびこり続けた闇によって
復活した時にそれら全てを殺そうとするのなら、護り抜け。
始祖神を子を殺したものにさせぬため
悪にさせぬため、力を振るえ。
それが、一番の原点であり
人として失ってはいけぬ、大事なものだ。
どれほどの傷を負うことになろうとも
どれほどの苦痛を身をもって味わうことになろうとも
決して立ち止まるな。逃げ出すな。立ち向かえ。
己にある、弱き闇に飲み込まれるものを打ち払い
互いが互いでいられるため、信じた道を貫け。
傷付けるな。迷うな。立ち止まるな。
共存とは、個の先にあるものではなく
幾多との和の先にあるものだということを知れ。
互いが互いを知り、理解し合い
ぶつかることになろうとも和解し合い
互いが
どれほどの苦痛によって傷つけたり殺そうとしようとも
その先にあるものを見据え、愛をもって踏みとどまれ。
それこそが、平和を成り立たせる上で
最も大切なものだ。
大切な存在を…
家族を失いたくないのなら、失わせるな。
傷付けるな。殺すな。
この世に生まれし命は、同じものが一つとしてない。
と同時に、全てが特別なものだ。
失っていい命などない。
踏みにじっていい命などない。
犠牲にしていい命などない。
互いが互いを大事にしてこそ、真の平和が成り立つ。
殺意を持つな。敵意を持つな。
全てが平等で、尊い存在だということを忘れるな。
右腰に差す剣は、己を護るためにあらず。
己が己であるため、信念を捧げるために振るうべし。
外とは違うだろうが
どのような目に遭おうとも、己を忘れるな。
愛をもって接することを忘れるな。
この力を持とうとも…
私は…受け継ぎに来るものを、お前を信じよう(微笑』