第4章 過去
その後…
恵土「つーん)…」
遊真「なあ、恵土。
俺が小さい時、
頬ずりしながら可愛がってくれたことは覚えてるぞ」
恵土「むす)どんな言葉だったかなぁ…
(覚えてるかどうか、これではっきりするけど…
何でよりにもよって
そんな下らんことを覚えているんだ!!;
セクハラ容疑で訴えるぞ(ぷんぷん」←若干怒ってる
遊真「よぉちよぉ~ちいい子でしゅねぇ~♪
って言ってた部分以外思い出せない」
恵土「それ、ほとんど全部じゃん!;」
遊真「でも、俺たちに会うまで
8歳半から11歳4か月だったよな?
それまでの2年10か月の間、何をやっていたんだ?」
恵土「…ずっと、一人で
近界をさまよい続けていた…
結局の所…この力を知れば
気味悪がって、近寄ろうとしなくなった…
話しかけようとも、全部無視だ…
それで私にぶつかってきても、何も言わない…
何も言わないで…ただ、争いの種みたいに見てこられた…
それか、利用できるものって感じで…
意思がない者みたいな感じでありながら、優遇されて…
わけわかんなかったな…
激しいいじめの方が、多かったけど」
遊真「そうか…仕返しはしないのか?」
恵土「しない」
遊真「即答だな」
恵土「そりゃあ…
そんなことをやった所で、どっちにも不利益をもたらすだけだ。
どちらも不幸になる。
それが解ってて、できるかって話しなんだよ。
そんなことを始めれば、永遠の続くだけだ…
互いに憎み、恨み、さげすみ合い…
永遠の終わることのない『怒りの応酬』……
その先にあるのは…
あの瓦礫の山と、死骸だけだ…
そんなのは、もう見たくない…
それで悲しんで、泣きじゃくる人を見るのも…耐えられない…
だから私は、強くなることを選んだ…
もう二度と、同じ思いをする人を出させないために…
こんな不幸を、繰り返してはいけないと思うから…」
そう、遠くを見つめながら言い切る眼は
どこまでも真っ直ぐで、とても強く見えた…